fc2ブログ
TOP > 故郷へ
 ← 影が薄いわけじゃないんだ | TOP | 舞踏団ブラックソール

リストマーク 故郷へ 

2009年03月16日 ()
FINALFANTASY XI * オンラインゲーム
沈黙の中に二人のタルタルと白ネコがいた。
陽もすっかり落ち、レンタルハウスの外からガヤガヤと
冒険者だろうか、通り過ぎる声が聞こえた。

「オレはガキの頃に舞踏団に拾われた孤児なんだが
 シャンテは違う…。どこか地方に行った時、ある屋敷から
 さらってきたって聞いたんだ。」
白ネコは何も言わずにアラムの話に耳を傾けた。
飲んでいたチョコドリンクもすっかり冷めてしまい、湯気が
立たなくなっていた。
「そうやって各地から子供をさらって、窃盗や暗殺なんかの訓練を
 させるんだ。オレもそうやって生きてきたんだがシャンテに会って
 気が変わった。」
アラムはシャンテの手を握り、白ネコを見つめた。
「シャンテはどんな辛い時でも、笑ってオレを励ましてくれた。
 窃盗や殺しもダメと諭してくれた。そしてシャンテの生い立ちを
 聞いて決心したんだ。」
アラムは立ち上がり、天井を仰いだ。
その目はキラキラと輝き、白ネコの心を打った。
「シャンテを故郷に帰してあげたい…。どんなことをしてでも!」
シャンテは俯いたままだったが、一瞬にっこりしたのを白ネコは
見逃さなかった。



ゴホゴホ…。
シャンテが咳をする…。
その手に赤いものがあったのに気づき、白ネコは
慌てて席を立った。
「ちょっと!それ…。」
アラムが白い布切れをシャンテに手渡し、悲しそうな目で
白ネコに振り返った。
「うん…。カスポニアの毒にやられてるんだ…。」
「カスポニア…。」
それはアットワ地溝によくみられる花で、非常に毒素の強い
花粉をまき散らす植物である。
近づくだけで体中が毒に侵され、解毒をしないと命に関わる
場合もある。
「解毒できないの?」
「何年か前にアットワを横断したことがあったんだ。
 その時に何人かの子供が毒に侵されたけど、じゅうぶんな
 解毒もしてもらえずにね…。もともと体の弱いシャンテは
 オレが盗んできた毒消しで解毒しても、抵抗力が低いのか
 効き目が薄いんだ…。それ以来蓄積された毒素は
 シャンテの視力さえも…。」
「わたしの為であっても、毒消しを盗む行為は許されません
 から、これでいいんです…。」
口を布切れで拭いたシャンテは、閉じている目を白ネコに向け
笑顔を見せた。

「わたし、ぼんやりだけど覚えてるんです。
 小高い丘の上で何かがキラキラ光ってるんです。
 そこには大きな木があって、空一面に星が輝いてるんです。」
シャンテは両手を組み、祈るような仕草をした。
そのシャンテを見つめ、アラムも続いた。
「多分、そこは星降りの丘だと思うんだ。」
「あぁ、なるほど。確かにそうかもしれないね。」
白ネコも頷き、思い出してみた。

星降りの丘1

そこは西サルタバルタ中央に位置する丘のことだ。
晴れた日の夜になると幻想的な輝きを放つところだ。

「じゃあ、シャンテはウィンダスが故郷ってことなのかな。」
「そうだと思う。」
アラムも頷き、白ネコの手を取り部屋の端へ連れて行った。
『シャンテはもう長くないかもしれない。だから早くウィンダスへ
 連れて行きたいんだ…。』
白ネコの耳元にぼそぼそと喋るアラムに、白ネコもどう返せば
いいのか分からなかった。


「よくわかったよ。その依頼、盗賊団スリースターズとして
 引き受けた!二人をウィンダスへ連れていくよ。」
白ネコはアルモアールから綺麗な衣装を出し身に纏った。
「盗賊団?」
アラムとシャンテは顔を見合わせ、聞き返した。
「そんな恰好で行くのか?」
アラムが見た白ネコの姿は、到底旅に出るような服装ではなかった。
「うーん、ちょっと時間も遅いしアポ無しだけど、まぁ大丈夫でしょ。
 ちょっとの間、ここで待っててね。舞踏団はまだこの地にいるよね?」
「あぁ、多分いると思うけど…。」
理解できないという顔をし、アラムは白ネコを見た。
「じゃ、ちょっと行ってくるよ。」
そう言い残し、白ネコはレンタルハウスの扉を開けた。



二人が旅支度を終え、一息ついた頃に白ネコが戻ってきた。
帰るなり衣装を脱ぎ捨て、冒険者らしい装備に着替えた。
「舞踏団のことは何とかしてくれるってさ。
 多分近いうちに壊滅すると思うよ。」
白ネコは鼻歌を歌いながらカバンを背負った。
「どういうことだ?何してきたんだ?」
「まさか、危険なことをしたのでは…。」
二人のタルタルの心配を余所に、白ネコは上機嫌だった。
「なーに、ちょっとこの国の聖皇と知り合いでね。
 舞踏団のことを報告したら、すぐに何とかしてくれるって
 約束をしてもらったんだよ。」
「聖皇!?それってまさか
 アトルガン皇国マジャーブ朝第16代聖皇ナシュメラ2世のことか!?
 あんた一体…。」
アラムは驚き目をぱちくりさせた。

「言ったじゃないか。盗賊団スリースターズさ!」


                       つづく! (大丈夫か!?まとまるのか!?)





[2009.03.16(Mon) 13:20] スリースターズTrackback(0) | Comments(0)
↑TOPへ


 ← 影が薄いわけじゃないんだ | TOP | 舞踏団ブラックソール

COMMENT

COMMENT POST















管理者にだけ表示

Trackback

この記事のURL:
http://noranyun.blog115.fc2.com/tb.php/62-40d4b5ee
 ← 影が薄いわけじゃないんだ | TOP | 舞踏団ブラックソール

ぷろふぃ~る。

個人で~た。

最新記事 + こめんと

らんきんぐ

とらっくばっく。

月別アーカイブ

カテゴリ

ついったー

きーわーどらんきんぐ

検索フォーム

いんふぉめ~しょん

QRコード